「命のウツワ」プロジェクト
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2011年3月11日、東日本大震災が起こりました。この災害があまりにも甚大なため、我々は、何をしたら良いか自失している状態でした。
被災地ばかりでなく、精神的にも日本全体が罹災したことで、我々自身の生き方をも問われていたのではないでしょうか。私たちが生きていくためにも、人と人とが繋がること、一人一人が考え、互いに助け合わなければ新しい一歩を踏み出すことはできません。そして、アートもまた、その媒介として、役割の一端を担えると信じています。
そこで、私が出した一つの答えは、ウツワを制作することだと思いました。そして、2011年5月、被災地の方々にウツワを届ける「命のウツワ」プロジェクトを立ち上げました。家内が宮城県仙台市生まれということもあってこれまで東北とは縁があり、1998年に、宮城県七ケ宿町の西山学院高校内に登り窯「無限窯」をプロデュースし築窯しました。その後、13年間、毎年夏に地元で取れる土を使い、自生する松や間伐材で窯を焚くワークショップを行ってまいりました。
今回、幸いにも登り窯や150年続いてきた古民家の工房は大きな被害もなく無事でした。そこで、7月からこの七ケ宿の東北の土を使い、登り窯でウツワを焼くための制作をスタートいたしました。地元の方々の協力もあって、2000点近いウツワを制作、8月末と10月に登り窯を焚き、ウツワが焼きあがりました。そして、被災地とネットワークのある方々を通じて、被災者の方に、ウツワをお届けしてきました。
◎プロジェクト推進組織
無限の会、宮城県七ヶ宿町、西山学院高等学校、モノ学感覚価値研究会及びアート分科会、東京画廊、杜間道、情報工房、NPO法人「水守の郷・七ヶ宿」、宮城県七ヶ宿町滑津地区住民、京都大学ワザ学および震災関連研究プロジェクト